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日本の漁業の現状と問題点とは。魚価格低迷の裏に乱獲の歴史あり

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「漁業」「漁師」という仕事を「成長産業」だと思う人は少ないかもしれません。何しろ、日本の漁師さんの平均年齢は60歳を超えているのです。普通の企業だったら定年退職している年齢の人たちが支えているのが現状なのです。

でも、欧米では漁業と言ったら押しも押されぬ成長産業。だから若者たちも漁業に就きたがるし、健全な年齢構成になっているようです。

なぜこのような違いが生じるのか、日本の漁業に潜む問題点と現状を洗い出してみましょう。

 

魚の減少、魚価下落の裏にある乱獲の歴史

今、日本の漁業業界で聞かれる言葉は2つあります。1つは「昔と比べて魚が減った」ということ。もう1つは「昔ほど魚が高く売れなくなった」ということ。つまり、獲れる量が減った上に値段も安くなっているので、ダブルパンチの状態なのです。

では、なぜ魚が減ったのでしょう。これは気候変動(地球温暖化)などの「環境の変化」という原因も考えられるのですが、最も大きいのは「獲り過ぎた」ためと考えられています。

魚を「親魚(卵を産める個体)」と「小魚(卵を産む前の個体)」に分けて考えてみましょう。漁師さんも、最初は親魚を狙って漁をします。それは、小魚よりも、親魚の方が高く売れるからです。試しに鮮魚店やスーパーに行ってみれば分かりますが、500gの真鯛2匹よりも、1kgの真鯛の方が高いことが分かります。調理の手間が少ないだけではなくて、脂の乗りが違ったり見た目が良かったりして、大きい方が高く売れるのです。これは真鯛だけではなく、全ての魚種に共通した価値観です。

ところが、日本近海では魚を獲りすぎたために、魚が減ってしまいました。このため、親魚だけでは足りなくなって、小魚を獲り始めたのです。こうなるとどうにもなりません。そもそも、親魚を十分に残しておかないと、小魚も生まれません。海の中で1年間に増える魚数以上に漁獲してしまったら、あとは減る一方なのです。

しかも、小魚は親魚ほど高く売れませんので、もっとたくさん獲らなければいけないという状態になってしまいました。こうして、1980年代から1990年代にかけて、日本近海の魚はどんどん減ってしまったと考えられているのです。

その結果、日本の漁業は「漁獲高の減少」と「魚価の低迷」という二重苦を背負うことになってしまいました。

 

オリンピック方式の弊害

では、なぜ欧米では成長産業と言われるような状況なのでしょうか。それは、適切な漁獲規制を設けているからです。

規制の仕方にはいろいろあるのですが、「ある海域における資源量を推定して、獲ってもよい漁獲量を漁業者に割り当てる」のが基本です。例えば、日本近海にサバがどれくらいいるか、1年間でどれくらいのサバが生まれるかを推計して、1年間に獲ってもよい量(漁獲枠)をそれより低く設定し、配分するのです。生まれる量よりも獲る量が少なければ、魚が減ることはありませんので。

実は、日本でもこのような漁獲枠の設定と配分をしているのですが、漁獲枠が大きすぎる(1年間に生まれる量より、獲ってもよい量が多過ぎる)のではないか、という指摘があります。また、漁獲枠の配分先も、個々の漁業者ではなく、漁協や漁連(県単位の漁協)に対して付与しているのも問題視されています。

前者の漁獲枠が大きすぎるのは問題外なのですが、実は後者の「割り当て単位が大きい」というのもかなり困った問題なのです。

漁師さんの気持ちになって考えてみましょう。ある漁協に所属する漁師さんが100人いるとして、漁協に付与された漁獲枠が1トンだとしましょう。漁協内での配分が行われないなら、「みんなが漁獲枠を使い切る前に、自分はたくさん獲ろう」と思いますよね。モタモタしていたら、他の漁師さんたちがどんどん魚を獲って、漁協に割り当てられた漁獲枠を使い切ってしまうかもしれないのですから。

このように「ヨーイドンで我先に獲る」という状態になってしまうため、日本の漁業は「オリンピック方式」と呼ばれています。他人よりも先に獲らなければいけないので、魚のえり好みもしません。獲れる魚から獲る、という考え方なので、大きい魚でも小さい魚でも、どんどん獲らなければいけないという状態なのです。

そうなると、本来であればもう少し待った方がより価値のある魚がたくさん取れるタイミングがあるのに、それを待つことができませんから、漁業界全体として見たらかなり非効率になります。

世界と日本の差は、完全にここにあると言っても過言ではないのです。

 

健全化が必要

東日本大震災の影響で、東北の太平洋岸では漁のできない時期が続きました。皮肉なことに、その数年間で、東北の海が豊かになったようです。地震や津波の結果というのが残念ですが、やはり、何らかの規制を敷くことで漁業資源は回復するのです。

ところで、なぜわざわざ効率の悪い漁業を迫られるような漁獲枠の設定をしているかというと、裏で政治が絡んでいるからです。

今の設定・配分だと大手水産加工企業が乱獲をして大きな利益を上げられるために、水産庁に対して働き掛けて設定を維持させようとします。それに対して水産庁は、他の漁協や漁師から不満が出ないように、補助金を出したりしてご機嫌を取っています。

まあそれぞれの都合がありますし世の中そんなものと言ったらそれまでですが、それが全体としたら悪い結果を生んでいるわけですから、個人的にはこの負のしがらみから抜け出すために、何らかのアクションを政府なり漁師さん達なりが起こしてくれたら、という気持ちですね。

 


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