日本で過労死が多い直接原因は残業や責任のストレスだが、根本原因とは何か
人それぞれ価値観や思考が違うように、国によってもさまざま。
その違いは、仕事にも表れています。
外国の方の印象だと、
「日本人は働きすぎ」。
良い意味のように捉えることもできますが、働きすぎによる疲労が心身ともに影響を及ぼすことも多いのです。
日本の労働事情はどうなっているのか、働きすぎて溜まる疲労の影響、そしてその根本的な原因に迫ってみたいと思います。
目次
日本の労働について外国と比較してみる
日本人男性の労働時間は、1日あたりの平均が6時間15分。
この平均時間を見て、日本人の感覚や価値観として「一般的」だと思う方が多いでしょう。
しかし日本は、世界で15位の労働時間の長さとなっているのです。
主な先進諸国である韓国やアメリカ、イギリスは1日の平均労働時間が4時間台で、フランスでは約3時間となっています。
この平均労働時間の違いを見れば、外国の方が「日本人は働きすぎ」と口にするのも納得がいきますよね。
これだけ働いているのだから、外国に比べて日本の給料が高いだろうと思いがちなのですが、実はそうではありません。
日本よりも短い労働時間でも給料が多い国はいくらでもあります。
世界的に見て、
このように、各国の人々の生き方や方針によって働き方が全く異なるのです。
「疲れ」だけでは済まない、働きすぎの危険性
疲労状態にある日本人はどれぐらいだと思いますか?
なんと、約6割にものぼるのです。
そして、日本は
と言われています。世界に広まった、日本の労働環境を表すネガティブな言葉が
。全く名誉なことではありませんが、これは日本発祥の言葉です。
実際に、働きすぎや仕事のストレスによる過労死が増加していますし、過労やストレスによってうつ病などの精神病に陥るケースも多く、過労自殺にも繋がります。
過労の症状はさまざまですが、次のような症状には注意してください。
・めまい
・頭痛、胃痛、肩こり
・不眠、朝起きられない
過労死や過労自殺、精神病になってしまうことを防ぐためにも、自分で気を付けることが大事です。
有給休暇や残業の実態
異常な労働状況にある日本ですが、有給休暇をできるだけ取らせる方針をとる企業の上層部も増えています。
理由がなくても有給休暇を取ることができ、企業側も理由を聞いてはいけない決まりが労働基準法によって定められています。
それでも、有給休暇を取らない日本人は多いのです。
それは日本人の傾向として、
「忙しい時に有給休暇を取りたいなんて言えない!」
と思う人が多いからです。
自分が取れる有給休暇の日数を把握していない日本人が多いのも現状となっています。
有給休暇も取らず、働きすぎ、さらには残業もこなす日本人も多いですよね。
ですが、残業という仕事のやり方は、外国から見てみれば
や という意見もあるのです。
ブラック企業といわれる労働環境
日本人の働き方を表すネガティブな言葉ブラック企業です。
がありましたが、そのキッカケとも言えるものの一つが実は、ブラック企業とは何か、という定義があるわけではないのですが、現状だと、単純に低賃金・長時間労働をさせている企業を示すことが多くなっています。
結局ブラック企業は法を犯しているわけではないので、それが良いのか悪いのかは立場や捉え方に依るところがあるからです。
ですからたとえ法を犯してなくても、それは表向きだけで明らかに異常な体制を敷いているのがブラック企業、という認識で良いでしょう。
では、なぜそのようなブラック企業が世の中で羽振りを利かせているのでしょうか。
その最大の鍵となるのは、「正社員の在り方」です。
現在の働き方
その前に、現在の社会における主な働き方を簡単にまとめておきましょう。
アルバイト、パート
自由な勤務時間、勤務日数で働けます。
残業に応じるかどうかも自由で、働き方によっては社会保険も完備されています。
派遣
派遣期間のみの雇用ではありますが、有給休暇や社会保険の制度はバッチリです。
残業の有無を自分で選ぶことができます。
契約社員
雇用期間の定めがありますが、再契約や契約延長などの可能性もあります。
有給休暇があり、社会保険やボーナスは契約内容に従って決まります。
正社員
雇用期間の定めがなく、社会保険完備でボーナスや有給休暇もあります。
ただし、契約社員に比べて有給休暇が取りにくい環境のことも多いです。
残業や転勤などには基本的にNOと言えません。
フリーランス
企業などに雇われることなく、時間や仕事の方向性を自分次第で自由に決められます。
人間関係に困ることがありません。しっかりとした自己管理が必要になります。
「努力=収入」が成り立っている働き方だと言えます。
働き方のそれぞれの特徴を上げると、まさに一長一短ですね。
過労死と正社員の密接な関係
この中で、やはり「正社員」というのは多くの人が人生の安定と結び付けている働き方になるのですが、今の時代、必ずしもそうとは限りません。
それどころか実はこの日本の正社員のあり方こそが、ブラック企業と過労死を多く生み出す根本原因となっています。
ではまず、正社員のメリットとデメリットを挙げてみたいと思います。
正社員のメリット
- 他の働き方と比較すると安定している
- 続けていれば給料が上がっていく
- キャリアが積める
- スキルが身に付く
正社員のデメリット
- 割の合わない仕事量・責任を被せられる
- 収入:時給の計算が成り立たない
- 労働基準法を掻い潜れる
- 融通が利かない
- 意外とスキルが身に付かない
- 会社が倒産するリスク
何と言っても、正社員の一番の魅力は安定性にあります。
余程のことをしなければ首にされることはありませんし、余程のブラック企業でない限りは続けさえしていれば、安定して給料は上がっていきます。
また他の働き方と比較した場合、様々な責任ある仕事を任されるので良い経験になりますし、キャリアを積んでいくこともできるでしょう。
立場上、スキルも磨き易いと思います。
しかしながらその一方で、ほとんどの場合において企業側はそんな正社員の心理を逆手に取ってきます。
つまり安定していて、続けていれば給料が上がっていくということは余程の仕事を与えても辞めないだろう、と考えるのです。
実際、アルバイトよりも正社員の方が辞めた場合のリスクが圧倒的に大きいために、嫌なことや辛いことがあっても耐えよう、我慢しようという気持ちを強く持たれるでしょう。
しかも労働基準法で定められている労働時間を掻い潜ることができたりします。
これはどういうことかというと、まず正社員は大概の場合において時給制ではありません。
ですからその労働が法に触れているのかどうかの判断がよくわからないところがあるのです。
たとえば仕事のできる・できないは個人差があるので、同じ仕事量であっても時間内に熟す人もいたりします。
そこで
「これはお前が悪いんだぞ」
と言われると、
「あっ、自分が悪いのか」
となってしまうのです。
仕事があまりできない人は多くの場合において自信を失っているので、明らかに理不尽なことを言われてもそれに納得してしまったりする傾向が強いです。
さらに仮に不当だと気付いても、もし内部告発等したら自分はその会社にいられなくなるという側面もあります。
だからこそ、本来であれば明らかに法律違反レベルの労働環境であっても、普通に成立してしまうのです。
結果的に、冷静になって収入:時給の計算をしてみたらバイトしてた方が全然効率が良いし気楽、という事態はもはやお約束となっています。
特にプライドの高い人は、そこで逃げずに堪えようとします。
すると
『あっ、こいつまだ耐えられるんだな。じゃあもう少し頑張ってもらうか」
あるいは
「もう少し負担を増やすか』
と考えます。
そしてこの悪循環こそが、過労死の引き金(根本原因)となっているのです。
日本人はそういう類のプライドは高い人が多いので、この悪循環がより一層駆り立てられている感はありますね。
意外とスキルが磨けないことも?
また、スキルが磨けるといっても基本的に正社員というのは上からの指示に従う立場になります。
ですから基本的なスキルとその会社の中でのみやりくりできる、限定的なスキルは身に付くのですが、いざ会社から飛び出した際に使えるスキルは意外と身に付き難いケースは少なくありません。
もちろんこれは完全に仕事場であったり本人の仕事に対する姿勢にも依るので、一概には言えませんが、立場上その会社でのみやりくりするためのスキル以外のスキルを磨くような余裕がある人は少ないと思います。
さらに会社には常に倒産のリスクが付き纏いますから、そういう意味でもそれほど安定性があるわけではありません。
もともと会社というのは数十年持てば大成功、100年持ったら異例中の異例なのですが、今の時代、たったの10年で会社の業績が全く違ってしまったりしますからね。
そしてそこで積んだキャリアは、大概の場合はその会社が倒産したら役に立ちません。
変な癖があって使う方も使い辛かったりするからです。
まあ皮肉にも、むしろ会社が倒産した方が幸せになるであろう人が決して少なくないのも事実なのですが・・・。
最後に
日本の労働事情や労働環境について、わかっていただけたでしょうか。
もう一つ、日本人の労働時間が長くなってしまうのは、仕事をしないorできない人間=ダメ人間
という価値観が根底にあるから、とも言えます。
それがあるからこそ、多くは正社員のような立場になると異常なほど頑張ろう・耐えようとして、そこに付け込むのがまさにブラック企業なのです。
正社員(今の会社)に縛られる働き方が人生にもたらすリスクの大きさがはっきりと感じられたのではないかと思います。
あまり世間的な価値観に縛られ、依存していると、気付いたらとんでもなく損をすることにもなり兼ねませんよ。
もちろんそれは全員に言えるわけではなくて、そういう生き方が合っている人もいれば、合わない人もいます。
自分はどちらのタイプなのか、もし現在大きな壁にぶつかっているなら一度自問自答する時間を作ることをお勧めしたいですね。
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